ベッリーニとワーグナー2016-06-04

今回のプログラムは「協奏的変奏曲」に加えて「カプレーティとモンテッキ」のアリア「おお幾度か」のホルンソロも有名なことから「ソプラノ・ホルン・ピアノによるベッリーニ特集」としました。

ベッリーニ(1801−35)のオペラが全10作と少ないのは、短命だったからだけでなく、1作に1年かけたいという主義だった事も影響しているようです(これが遅いのかはロッシーニやドニゼッティが速すぎて不明)。そんな彼にとって初演まで2ヶ月を切った「カプレーティとモンテッキ(1830年)」の依頼を受けたのは異例でしたが、習作や失敗作からの改作も用いて、この「危険な任務」(本人談)をクリア、初演は少し延期されたものの大成功をおさめました。(しかしその疲れからか、ベッリーニは肝臓を壊し、一時は重症に陥っています...←早逝フラグ ?)

「カプレーティとモンテッキ」は「ロメオとジュリエット」の物語で、親に決められた相手との結婚をジュリエッタが嘆く「おお幾度か」は、美しい旋律と綿密に「書かれた」装飾を持つベッリーニらしい名アリア。前奏のカデンツァつきホルンソロと、レチタチーヴォで歌が同じホルンソロに絡む所が今回のオススメポイントです。初演の際には(それまで酷評されがちだった)管弦楽法も評価され、オーケストラ、特にクラリネットとホルンの演奏も絶賛されました。

ドイツで「カプレーティとモンテッキ」に接したワーグナーも「気高い歌」と賞賛(して、その影響でイタリア風オペラ「恋愛禁制」を書き、また「ノルマ」のドイツ上演の際には追加のアリアも作曲)しました。ベッリーニがいかに多くの同業者から愛されたかは、「ベッリーニを愛さない者は音楽を愛する者に非ず」というボイトの言葉にも表れています。

ということで音楽を愛するみなさま、是非「ベッリニアーナ・カフェ」にご来場を、そして演奏会ではカットされる事も多い「おお幾度か」の壮大な前奏もたっぷりお愉しみください!


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今月の演奏メニュー

2016年6月26日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第121回
ベッリニアーナ・カフェ

ベッリーニ「"カプレーティとモンテッキ" より おお幾度か」sop,hr,pf
同「Tecum principium」sop,pf
同「協奏曲 より Allegro polacca」hr,pf
ニコライ「ベッリーニの "夢遊病の女" による協奏的変奏曲」sop,hr,pf
ほか

柳沢亜紀(ソプラノ)
笠間芙美(ホルン)
川北祥子(ピアノ)

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