ベッリーニとニコライ2016-06-01

弱気になる出来事がありブログの更新が滞っているうちに6月になってしまいました... というのは今回、ニコライ(1810-49)作曲の、ソプラノとホルンとオーケストラ(ピアノ)の為の「ベッリーニの "夢遊病の女" による協奏的変奏曲 op.26(1837年)」をメインに「ソプラノ・ホルン・ピアノによるベッリーニ特集」を組んだというのに、肝心のこの曲が

どう見てもクラリネットの曲だったんです... orz
(ニコライといえば歌とホルンとピアノのための「涙 op.30(1845年)」という「これぞホルン!」な歌曲があるので、「協奏的変奏曲」もホルンだとすっかり信じきっていたのですが...)

でも表紙にはしっかり「ホルン(またはチェロ、クラリネット)」と書かれているし、調べてみると、ウィーンで活躍したホルンの名手エドヴァルト・コンスティン・レヴィに献呈されたようです(弟ヨゼフ・ルドルフ・レヴィはシューベルトの「流れの上で」の初演者)。憶測ですが、元々「クラリネット(またはチェロ、ホルン)」を想定して書いた物を、何かの事情でホルン奏者に献呈するハメになったか、ホルンで初演するハメになってホルンの曲として出版されたのではないでしょうか(これをホルンで出しちゃったから罪滅ぼし的に「涙」も作曲した、なんて事もありえるかも)。ともかく作曲者自身の了承した楽器指定ではあるようです。

さて1837年といえばドニゼッティがベッリーニ(1801−35)の追悼のための「レクイエム」を発表した年ですが、ニコライは特にそんなつもりはなかったようで、この「協奏的変奏曲」は敢えて言えば「ベッリーニ万歳」的。曲の前半はホルンソロによる「Come per me」、後半はソプラノとホルンのかけ合いによる「Ah non giunge」の変奏曲で、「夢遊病の女(1831年)」の幕開けと幕切れのハッピーな旋律がドッキングして、ひたすらハッピーな曲に仕上がっています。いえ安直だなんて言ってませんよ(笑)ヒネリはなくとも素直に華やかで、器楽の特権であるはずのオペラファンタジー物に歌を持ち込むのもユニーク、そしておそらくホルンで演奏される機会はなかなか無いものと思われますので(><) 是非この機会にご来聴くださいませ!

ところで、ベッリーニもニコライも充分有名な作曲家なのに文献が少なく、また早逝しているにもかかわらず(死因はそれぞれ肝臓膿瘍、脳梗塞との事)40人の作曲家の病気についてまとめた本にも載っていなくて、やはり大作曲家ベスト40には入らないかと思うとちょっと寂しい気持ちです...


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今月の演奏メニュー

2016年6月26日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第121回
ベッリニアーナ・カフェ

ベッリーニ「"カプレーティとモンテッキ" より おお幾度か」sop,hr,pf
同「Tecum principium」sop,pf
同「協奏曲 より Allegro polacca」hr,pf
ニコライ「ベッリーニの "夢遊病の女" による協奏的変奏曲」sop,hr,pf
ほか

柳沢亜紀(ソプラノ)
笠間芙美(ホルン)
川北祥子(ピアノ)

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