カフコンスの歌姫2015-10-10

明日のカフコンスは、「カフコンス」の名付け親で、まさしく「カフコンスの歌姫」でもあるソプラノの渡辺有里香さんによる「カフェコンセールの歌姫vol.7」です。「カフコンス」はもちろん「カフェコンセール」の略ですが、渡辺さんはこの略し方をサティのカフェ歌曲集の楽譜のタイトル「chansons de caf'conc'(カフコンスのシャンソン)」で知ったそうです。

今回歌われるサティの初期の歌曲3曲も、近年になって「キャバレーやカフコンスのシャンソン」として出版されたものです。コミカルな「肌着」は、既に「ジュトゥヴ」を歌って人気を博していた歌姫ポーレット・ダルティの為に書かれたもの。「祝日の小曲集」は、歌手でもあったヴァンサン・イスパの詩による、題名が欠けていたり歌詞が欠けていたり(!)もする4曲の草稿集。同じくイスパの詩による「男やもめ(第1稿)」は、イスパが気に入らなかったため書き直され(第2稿を歌ったようです)、サティはこの不採用バージョンをピアノ連弾曲「梨の形をした3つの小品」に使い回しているので、その「第2の小品」も連弾で演奏します。

続くヴァイルの「愛してないわ」「セーヌ哀歌」「ユーカリ」は、シャンソン歌手リス・ゴーティのために作曲されたシャンソン(※「ユーカリ」は劇音楽「タンゴ・ハバネラ」に後から歌詞をつけたもの)。パリ時代にフランス語で書かれたこの3曲は「三文オペラ」ともブロードウェイ作品ともまた違った印象です(が、「愛してないわ」は後のアメリカ時代に対独宣伝放送用として独語の「もうあとどれだけ?」に書き直されたり、「ユーカリ」はフランスのレジスタンスに歌われたりもしています)。ちなみにゴーティはセーヌ右岸の街の生まれだそうです。

最後はキャバレーもカフェもないアメリカで書かれたキャバレーソング、「1930年代の愛」「待っている」「アモール」。作曲家ボルコムと劇作家ワインスタインのコンビは、ブリテンの「キャバレーソング」にも倣って、「歌手とピアノによるお芝居」のような演奏会用歌曲を「キャバレーソング」と位置づけているようです。この3曲の前に挿むピアノ曲「優雅な幽霊のラグ」は、亡くなった父親にボルコムが捧げたもので、追悼曲が「幽霊」の「ラグ」とはちょっと驚きですが、題名通り優雅な、ショパンの葬送ソナタ風のラグタイムです(と思うと葬送ソナタの1楽章のリズムもラグに聴こえてくるのが不思議)。

それでは明日のご来場をお待ちいたしております!
雷雨の天気予報は外れますように...(K)


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明日の演奏メニュー

2015年10月11日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第117回
カフェコンセールの歌姫vol.7

サティ「肌着/祝日の小曲集/男やもめ(第1稿)」
同「梨の形をした3つの小品」より 第2の小品 *ピアノ連弾
ワイル「愛してないわ/セーヌ哀歌/ユーカリ」
ボルコム「優雅な幽霊のラグ」 *ピアノ独奏
同「キャバレーソング集」より
   30年代の愛/待っている/アモール

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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