コオロギ(アルカン)2013-03-26

3段譜の最上段がコオロギです
4月のカフコンスは「虫のカタログ」。ただいま虫嫌いの2人が昆虫採集に苦戦中です(捕まえてみたらテントウムシやバッタやセミばかりだったり、なかなか上手くいかず...)。ブログでは捕獲済みの虫からご紹介していきたいと思います。

まず1匹目はアルカンのピアノ曲「夜想曲第4番 コオロギ」(1859)。今年が生誕200年にあたるアルカン(1813-88)は、リスト(1811−86)らと同年代の超絶技巧派ピアニストで、この「コオロギ」にも当時流行の「3本の手」という技法が使われています。

「3本の手」というのは文字通り3本の手で弾いているかのような効果を指し、「コオロギ」では美しい夜想曲(2本の手で弾く通常のピアノ曲のような)と同時にどこからかコオロギの声(3本目の手で弾いているかのような、写真3段譜の最上段)が聞こえてきます。この曲の場合は時々コオロギが鳴くだけで難易度は低いのですが、本来の「3本の手」は「3本目の手のパート」が華やかなオブリガート音型を絶え間なく弾き続ける超絶技巧的なものです。

アルカンは奇才のイメージが強く、ちなみに過去にカフコンスで取り上げたのも「オウムの死に寄せる葬送行進曲」という奇抜な作品(本人も100羽の鳥を飼っていたそう)。そんな中「コオロギ」はとても繊細で綺麗な夜想曲に聞こえますが、「虫の声を音楽と感じるのは日本人だけ」という説が本当なら、コオロギの声を夜想曲に組み込むというのはフランス人にとっては驚くべき事かもしれず、やはり奇才の作品なのかもしれません。


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来月の演奏メニュー

2013年4月28日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第101回
虫のカタログ

サンサーンス「テントウムシ/トンボ」
ヴィエネル「カタツムリ/アリ/ホタル」
マヌーキアン「ハエ」
アルカン(生誕200年)「コオロギ」
フランセ「ムカデ/甲虫」
ランゴー「大蚊/蚊」
ファイン(生誕100年)「蜘蛛」
ブリテン(生誕100年)「バッタ/スズメバチ」
ほか予定

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:
山本葵(フルート)
若木麻有(オーボエ)

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