花蝶風月~記念イヤーの作曲家による作品集(カフコンス第92回)2012-04-22

*曲目

ドビュッシー「春が来た」
Claude Debussy (1862-1918)
Voici que le Printemps (1883)

同「薔薇/蝶/そよ風/ピエロ」
Les roses (1882)
Les papillons (1881)
Zephir (1881)
Pierrot (1882)

アイアランド「四月/Fire of spring」*ピアノソロ
John Ireland (1879-1962)
April (1925)
Fire of spring (1915)

ディーリアス「4つの古いイギリスの詩」
Frederick Delius (1862-1934)
Four old english lyrics (1915)
  It was a lover and his lass それは恋する男とその恋人
  So white, so soft, so sweet is she
    それほど白く、やわらかく、甘いのだ、彼女は
  Spring, the sweet spring 春、素敵な春
  To daffodils 水仙に

マスネ「2つの小品」*ピアノソロ
Jules Massenet (1842-1912)
Deux pièces (1907)
  Papillons noirs 黒い蝶
  Papillons blancs 白い蝶

同「やがて愛するだろう/四月がここに!」
Vous aimerez demain (1866)(四月の詩 Poème d'avril op.14 より)
Avril est là! (1899)

(同「黄昏」)


*出演

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)


*歌詞大意

「春が来た」ブールジェ(1852-1935)

ほら 春が 軽やかな四月の申し子が
白い薔薇の刺繍をした緑の衣の 美しい小姓が
颯爽と元気よく 腰に拳を当てて現れる
長い不在から戻って歓呼で迎えられる王子のように

緑の茂みの枝が伸びて
彼がはしゃぎ躍りながら進む道に懸かる
彼は左肩にウグイスを連れ
ツグミが右肩にとまっている

森の苔の下で眠る花たちは
優しく揺れる影の浮かぶ目を開け
小さな足で立ち上がって 聴こうとする
二羽の鳥が一緒に鳴き歌うのを

なぜならツグミが鳴き ウグイスが歌うから
ツグミは愛し合っていない者に鳴く
そして やるせなく惹かれ合う恋人たちには
ウグイスが心に響く歌を歌い続ける

「薔薇」バンヴィル(1823−91)

サファイアの空が燃える時
夏が その息で
恋する愚かなニンフに触れ 戯れに
赤々とした火を彼女の唇に置く時
その横柄で残忍な熱が
ミルテとイトスギを震わせると
不思議な力のもとに 恋焦がされてしまう
青白い顔 半ば閉じた唇
輝く森の木の葉
そして薔薇の燃える心 お前もが

「蝶」ゴーティエ(1811-72)

雲色の蝶たちが
海の上を飛ぶ
美しい白い蝶たち 僕はいつ
空の青い小径を行けるのだろう?

分かるかい ああ 誰よりも美しいひと
漆黒の目をした異国の踊り子よ
もし蝶たちが羽を貸してくれたら
ねえ 分かるかい 僕がどこへ行くか?

薔薇の口づけの一つも受けず
谷や森をぬけて
僕は行く あなたの半ば閉じた唇へ
僕の魂の花へ そして そこで死ぬのだ

「そよ風」バンヴィル

もし私が羽のあるそよ風なら
あなたの口唇へ行って死ぬだろう
あのヴェールの鍵を持っているだろう
もし羽のあるそよ風なら

私が憧れる あの乳房のそばで
ベッドにすべり込むだろう
もし羽のあるそよ風なら
あなたの口唇へ行って死ぬだろう

「ピエロ」バンヴィル

人々が見つめるのは お人好しのピエロ
アルルカンの婚礼を終えて
教会の大通りを夢みながら行く
しなやかな服の少女は
空しく いたずらな目でからかう
その間にも 密かに 静かに
彼をもっと気に入って
牛の角のある白い月が
流し目を送る
恋人 ジャン・ガスパール・ドビュローに

「それは恋する男とその恋人」シェイクスピア(1564−1616)

それは恋する男とその恋人
ヘイ ホー ヘイ ノニノ
緑のとうもろこし畑をわたって行ったのは
 ※春に、素敵な結婚の季節に
  鳥たちがヘイ、ディンディンと鳴く
  恋人たちは春が好きだ

広いライ麦畑の中で
ヘイ ホー ヘイ ノニノ
村のひとびとは寝っころがって
 ※春に 〜

(そのときにこの歌をつくったのだ
 ヘイ ホー ヘイ ノニノ
 人生なんて花のようにはかないものだと
  ※春に 〜 註:歌ではこの節が省略されている)

だからこの時を大事にしよう
ヘイ ホー ヘイ ノニノ
愛が一番なんだから
 ※春に 〜

「それほど白く、やわらかく、甘いのだ、彼女は」
 ベン・ジョンソン(1572-1637)

ただ一輪の白いユリが咲くのを見たことがあるかい?
荒々しい手が触れる前に
雪のひとひらに気付いたかい?
土が汚してしまう前に
ビーバーの毛皮を触ったことがあるかい?
白鳥の羽には?
野ばらの芽を嗅いだことがあるかい?
火の中の松脂の匂いは?
ハチの蜜袋を味わったことは?
それほど白い!それほどやわらかい!それほど甘いのだ、彼女は

「春、すてきな春」トーマス・ナッシュ(1567-1601)

春、すてきな春は一年の中の陽気な王、
すべてが花開き、娘たちは輪になって踊る、
寒さに刺されることもなく、かわいらしい鳥たちがうたう
※クックー ジャグジャグ プウィー トゥウィッタウー

ヤシやサンザシは村の家々を賑わし、
子羊は跳ねまわり、羊飼いは一日中笛を吹く、
そして鳥たちがこの明るい日差しのなかで奏でるうたを聞く
※クックー 〜

野は甘い香りを放ち、ひなぎくが足元に口づける、
若い恋人たちは逢引、おばさん方はひたなぼっこ、
どの通りでもこの挨拶がきこえる
※クックー 〜

「水仙に」ロバート・ヘリック(1591-1674)

美しい水仙、僕たちは泣いた
お前があまりに早く去ってしまうのを見て、
早起きの太陽は
まだ昼にもなっていないのに。
待っておくれ
せっかちな一日が
急いで
夕べの祈りの時間になるまで、
そして一緒に祈り、
お前と共にゆこう。

僕たちもとどまるにはあまり時間がない、
お前のように、
春のように、
朽ちるまではあっけない、
お前やその他のもののように。
僕たちは死ぬ、
お前のように、
そして乾く
夏の雨のように、
朝露の真珠のように、
二度と見つかることはない。

『四月の詩』より「やがて愛するだろう」
 シルヴェストル(1837-1901)

やさしい春が手のひらから
夜明けの光が森で落とした最初の涙を吸い取った
君はやがて愛するだろう、まだ愛していなかった君は
そしてもはや愛すのをやめた君は、やがて愛するだろう!

春は空気から絹の糸を摘み取った
靴を結んで森を駆け巡るために
君はやがて愛するだろう、はじめて
この終わりのない歓びを知らなかった君は

春は通りに花をまいた
愛するひとの笑いごえでいっぱいの通りに
君はやがて愛するだろう、まだ愛していなかった君は
そしてもはや愛すのをやめた君は、やがて愛するだろう!

「四月がここに」フランソワ・フェラン

四月がここに、歌いながら、お前の祝宴だ、私の愛するひとよ!
愛のファンファーレがたっぷりとした陽射しの中で鳴り響く
ごらん、花がまるで眠りから覚めるように咲き誇っている
感傷的な夢のあとに来る、世界の目覚めだ!

あらしは去り、波はおだやかになった
来てくれないか、愛するひとよ?お前に抱きしめてほしいのだ!
逃避が私のしのび泣きから救ってくれるのを知っているだろう
日ごと、希望と不安のあまり死んでしまいそうな私を

見ておくれ!私はお前の魅惑的な支配に服従し
お前から決して離れまいと願っている!
そして私が望むものはあふれ出る愛情
おお!私のいとしい、愛の喜びのすべてだ!

来てくれないか?
おいでよ!
おいで!
開かれた楽園を香りで満たそう。

心乱す陶酔の目のくらむような幸せの中へ!
来てくれないか?
おいでよ!愛するひとよ!
おいで!おいで!


*ブログ

2012-04-22 ご来場ありがとうございました
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2012-04-21 アンコール予告
2012-04-20 マスネの2曲セット×2
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2012-04-17 ドビュッシーの初期歌曲
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