ブラームス~亡き母に寄せる三重奏(カフコンス第62回) ― 2009-06-14
*曲目
ヨハネス・ブラームス「ホルン三重奏曲 変ホ長調」
Johannes Brahms (1833-97)
Trio für Klavier, Violine und Waldhorn op.40 (1865)
1.Andante
2.Scherzo: Allegro
3.Adagio mesto
4.Finale: Allegro con brio
(ショパン「雨だれ」)
*出演
榊原紀保子(ピアノ)
小泉百合香(ヴァイオリン)
大森啓史(ホルン)
*プログラムコメント
ヴァイオリン、ホルンとピアノによる三重奏という編成によるレパートリーというと、真っ先に想起させられるのがブラームスのホルン三重奏曲 変ホ長調 作品40であろう。非常に珍しい編成であり、他にもバークレイやリゲティ等の作曲家たちがこの編成のための作品を残しているものの、ブラームス以外の作品には滅多に生演奏に触れることはないだろう。
ブラームスは少年時代からホルンの演奏に親しんでいたようで、よく母親にもホルンを吹いて聴かせていたという逸話が残っている。ちなみに、彼が親しんでいたのは現代のホルンよりもよりシンプルな形状であるナチュラルホルンで、この作品もその楽器での演奏を前提に作曲された。彼はこの作品を1865年5月に書き上げているが、その直前の2月に母親の急逝という憂き目にあってしまっていて、亡き母への思いはホルンを通じてこの作品にも暗い影を落としていると言われる。
第1楽章はアンダンテ。まるで田舎道を散歩をするかのようなゆるやかで素朴な4分の2拍子と、より動きのある8分の9拍子の部分が交互に現れる。
第2楽章はアレグロ(スケルツォ)。軽快でシンプルな3拍子の音楽。中間部ではテンポを落とし、哀愁を帯びた旋律が現れる。
第3楽章はアダージョ・メスト。メスト(悲しげに)という指定が、母を失った作曲者の心情を発露しているかのようだ。フラットを6つも使う変ホ短調という非常に稀な調を用いて静かに、そして時には激しく、彼の心の内面を映し出してゆく感動的な楽章。
第4楽章はアレグロ・コン・ブリオ。8分の6拍子という、伝統的な「狩りの音楽」のスタイルを持った活動的な楽章。前楽章から一転して明るい音楽となるが、実はその主題は第3楽章から引用されたものであり、ブラームスの作曲技法の巧みさが光っている。
ヨハネス・ブラームス「ホルン三重奏曲 変ホ長調」
Johannes Brahms (1833-97)
Trio für Klavier, Violine und Waldhorn op.40 (1865)
1.Andante
2.Scherzo: Allegro
3.Adagio mesto
4.Finale: Allegro con brio
(ショパン「雨だれ」)
*出演
榊原紀保子(ピアノ)
小泉百合香(ヴァイオリン)
大森啓史(ホルン)
*プログラムコメント
ヴァイオリン、ホルンとピアノによる三重奏という編成によるレパートリーというと、真っ先に想起させられるのがブラームスのホルン三重奏曲 変ホ長調 作品40であろう。非常に珍しい編成であり、他にもバークレイやリゲティ等の作曲家たちがこの編成のための作品を残しているものの、ブラームス以外の作品には滅多に生演奏に触れることはないだろう。
ブラームスは少年時代からホルンの演奏に親しんでいたようで、よく母親にもホルンを吹いて聴かせていたという逸話が残っている。ちなみに、彼が親しんでいたのは現代のホルンよりもよりシンプルな形状であるナチュラルホルンで、この作品もその楽器での演奏を前提に作曲された。彼はこの作品を1865年5月に書き上げているが、その直前の2月に母親の急逝という憂き目にあってしまっていて、亡き母への思いはホルンを通じてこの作品にも暗い影を落としていると言われる。
第1楽章はアンダンテ。まるで田舎道を散歩をするかのようなゆるやかで素朴な4分の2拍子と、より動きのある8分の9拍子の部分が交互に現れる。
第2楽章はアレグロ(スケルツォ)。軽快でシンプルな3拍子の音楽。中間部ではテンポを落とし、哀愁を帯びた旋律が現れる。
第3楽章はアダージョ・メスト。メスト(悲しげに)という指定が、母を失った作曲者の心情を発露しているかのようだ。フラットを6つも使う変ホ短調という非常に稀な調を用いて静かに、そして時には激しく、彼の心の内面を映し出してゆく感動的な楽章。
第4楽章はアレグロ・コン・ブリオ。8分の6拍子という、伝統的な「狩りの音楽」のスタイルを持った活動的な楽章。前楽章から一転して明るい音楽となるが、実はその主題は第3楽章から引用されたものであり、ブラームスの作曲技法の巧みさが光っている。
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