シューマン夫妻の三重奏(カフコンス第55回)2008-10-05

*曲目

ロベルト・シューマン「幻想小曲集」より
Robert Schumann (1810-56)
Fantasiestücke op.88 (1842/49)
  2.Humoreske フモレスケ(ユーモレスク)

クララ・シューマン「三重奏曲 ニ短調」
Clara Schumann (1819-96)
Trio op.17 (1846)
  1.Allegro moderato
  2.Scherzo: Tempo di Menuetto
  3.Andante
  4.Allegretto

(ロベルト・シューマン「幻想小曲集 op.88 より 3.Duetto」)


*出演

島﨑祐子(ヴァイオリン)
船田裕子(チェロ)
川北祥子(ピアノ)


*プログラムコメント

 本日は五月に演奏したファニー・メンデルスゾーンに引き続き「身近に大作曲家を持つ女性」であったクララ・シューマンの三重奏曲を取り上げる。
 クララは作曲家としてのデビューも早く、11才でピアニストとして活動を開始すると同時にピアノ曲を初出版した。が「女は作曲をするべきでない」とまで発言していたクララは、夫やメンデルスゾーンらに賞賛された代表作「三重奏曲op.17」についても「女々しく感傷的」と卑下しており、この作品の完成後に夫が着手した「三重奏曲op.63」の完成度の高さにクララが作曲への自信を失ったとされている。しかし逆にロベルトが、自分の作品の演奏者としてだけでなく、作曲家としてのクララからも影響を受けていたとも言えるのではないだろうか。
 ロベルトの「室内楽の年」である1842年に書かれた「幻想小曲集」は、同年のピアノ四重奏曲や五重奏曲とともに、クララのレパートリーであり、彼女の三重奏曲に影響を与えたとも考えられる。