女心と秋の空(カフコンス第43回)2007-10-28


*曲目

チマローザ『秘密の結婚』より
「上品な伯爵夫人にご挨拶しましょう」
Domenico Cimarosa (1749-1801)
"Il matrimonio segreto" (1792)
Le faccio un inchino

モーツァルト『コシ・ファン・トゥッテ』より
「男というものは」(加藤)
「私はブルネットを選ぶわ」(安陪・前田)
Wolfgang Amadeus Mozart (1756-91)
"Così fan tutte" (1790)
In uomini!
Prenderò quel brunettino

プッチーニ『つばめ』より
「ドレッタの夢」
「どこへご案内しましょう」
Giacomo Puccini (1858-1924)
"La rondine" (1917)
Chi il bel sogno di Doretta
Dove lo mandiamo?

團伊玖磨 (1924-2001)『夕鶴』(1952) より
「あたしの大事な与ひょう」(前田)

ビゼー『カルメン』より
「何を恐れることがありましょう」(安陪)
「ジプシーの歌」
Georges Bizet (1838-75)
"Carmen" (1875)
Je dis que rien ne m'épouvante
Les tringles des sistres tintaient

(バーンスタイン:『ソングフェスト』より「最愛の夫へ」)


*出演

安陪恵美子(ソプラノ)
加藤千春(ソプラノ)
前田地香子(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)


*プログラムコメント

 本日は女声同士のオペラの重唱とアリアを集めてみました。玉の輿の縁談をめぐる三重唱、浮気をすすめるアリアと浮気の相談の二重唱、愛への憧れを歌いパリの街へくり出す娘達の重唱、離れていった恋人への想いを歌うアリア、同じく恋人を連れ戻しに向かうアリア、酒場で踊る奔放なジプシー女達の歌、以上八曲を、大学での同級生で学生時代からずっと大親友という三人のソプラノのアンサンブルでお楽しみ下さい。


*歌詞大意

『秘密の結婚』より「上品な伯爵夫人にご挨拶しましょう」
(カロリーナ/エリゼッタ/フィダルマ)

ご挨拶しましょう 上品な伯爵夫人に
淑女となるために生まれたお方
でも笑ってしまうわ 伯爵夫人なんて!

笑えばいいわ 私は淑女で伯爵夫人
笑いたければ自分をお笑いなさい
あなたは礼儀がないのね!

あなたはちょっとうぬぼれ過ぎよ
あなたは少しお行儀が悪いわ
みっともない もうおやめなさい!

私はあなたの召使いじゃないわ
私は年上よ
私たちは姉妹だわ
短気ね!
うぬぼれ屋!
あなたの不作法には我慢できないわ!
こんな言い争いはやめましょう 黙りなさい!

『コシ・ファン・トゥッテ』より「男というものは」(デスピーナ)

男たちに 兵士たちに 貞節を期待するのですか?
そんな事をおっしゃらないで お願いですから!

男は誰もみな同じ気質 揺れる葉や気まぐれな風も
男たちに比べたら落ち着いたもの

偽の涙 嘘の眼差し 欺きの声 みせかけの仕草
それが彼らの一番の本質

私たちを愛さず楽しむだけ 軽蔑し愛情を拒む
そんな野蛮人に情を求めても無駄

仕返ししましょう 同じように この不躾な人種に
私たちも愛しましょう 気軽に都合のいいように
ラララ ラララ ララララ

同「私はブルネットを選ぶわ」(フィオルディリージ/ドラベッラ)

私はブルネットを選ぶわ 気がききそうだから
それなら私はブロンドと笑ったりふざけたりしたいわ

戯れで甘い言葉に応えましょう
ため息してため息を真似ましょう

私に言うわ 愛しい方 僕は死ぬ と!
私に言うわ 僕の美しい宝 と!

それならなんと楽しいかしら
なんという気晴らしを体験できるかしら!

『つばめ』より「ドレッタの夢」(マグダほか)

誰がドレッタの夢を言い当てられるでしょう?
彼女の謎はどうして解けたのでしょう?
ああ ある日一人の学生が彼女の唇に口づけしました
その口づけは啓示 熱情でした!

狂おしい愛! 狂おしい陶酔!
誰がこれほど情熱的な口づけのほのかな愛撫を
言い表せるでしょう?
(すばらしいわ! 魅力的だわ!)

ああ 私の夢! ああ 私の人生!…
富に何の価値があるのでしょう
幸福がまた花開いたなら!…
おお 黄金色の夢 こんな風に愛せるのは!
(愛! どうしましょう!
 気絶するわ! 身震いするわ!)

同「どこへご案内しましょう」(リゼットほか)

どこへご案内しましょう? さあ 考えましょう…
探さなくては..私達にふさわしい所を!
あなたが考えて! 私がですって?

バル・ムサール! フラスカティへ!
いいえ カデに! カタラン!
パリのすべては光り輝いている!
いいえ ブリエ! そうよ ブリエがいいわ!
これ以上の所はないわ! では行きましょう!

そこには愛が 喜びや楽しみがある…
ふさわしい心を選ぶ..気づくでしょう ブリエで
笑いや光や花の中で もっと激しく歌う愛に!

『夕鶴』より「あたしの大事な与ひょう」(つう)

与ひょう あたしの大事な与ひょう
あんたはどうしたの
あんたはだんだん変わってゆく 変わってゆく
あたしとは違う世界の人になっていってしまう
いつかあたしを矢で射たような
あの恐ろしい人たちとおんなじになっていってしまう

どうしたの? あんたは
どうすればいいの? あたしは
あたしは あたしは どうすればいいの?

あんたはあたしの命を助けてくれた
なんの報いも望まないで矢を抜いてくれた
それがほんとに嬉しかったから
あたしはあんたの所へ来たのよ

そしてあの布を織ってあげたら
あんたは子供のように喜んでくれた
だからあたしは苦しいのに
何枚も何枚も織ってあげたのよ
それをあんたはその度にお金と取りかえてきたのね

それでもいいの あたしは
あんたがお金が好きなのなら
だからお金が入ったから
後はあんたと二人っきりで
この小さなうちの中で
静かに楽しく暮らしたいのよ

あんたは他の人とは違う人 あたしの世界の人
だのにあんたはだんだん離れてゆく
だんだん遠くなってゆく

どうしたの? あんたは
どうすればいいの? あたしは
あたしは あたしは どうすればいいの?

『カルメン』より「何を恐れることがありましょう」(ミカエラ)

*私は言い聞かせる 何も恐れることはない
ああ! 私は大丈夫
でも いくら勇敢にふるまっても
心の奥では恐怖で死ぬ思い!

**こんなに寂しい場所に 一人きりで怖い
でも怖がってはいけない
どうか勇気をお与え下さい
どうかお守り下さい 神様!

あの女を間近に見てやる
そのいまいましい手管は
恥知らずにしてしまった
かつて私が愛した彼を!

彼女は危険で美しい!
でも怖がるつもりはない!
目の前ではっきり言ってやる ああ!
神様どうかお守り下さい ああ!

*私は言い聞かせる〜
**こんなに寂しい場所に〜


同「ジプシーの歌」(カルメンほか)

鈴を高々と打ち鳴らせば
異国風の音楽にジプシー女たちが立ち上がる
バスクの太鼓が加わり 狂おしいギターが
掻き鳴らし続ける いつもの歌 いつものルフラン!
ラララ…

銅と銀の指輪が褐色の肌に輝き
オレンジと赤の縞のショールが風に舞う
踊りと歌が一つになり 最初はためらい
しだいに速く 高まっていく!
ラララ…

ジプシー男たちは力の限り楽器を鳴らし
目も眩む喧噪がジプシー女たちを魅了する
歌のリズムに 燃え 狂い 熱狂し
彼女たちはわれを忘れ その渦に身をまかせる!
ラララ…