猫の音楽史(カフコンス第26回)2006-03-19


*曲目

スカルラッティ「ソナタ ト短調」(ピアノ)
Domenico Scarlatti (1685-1757)
Sonata L.499(K.30) (1720以降?)

モーツァルト「さあ愛しいひとよ」(二重唱)
Wolfgang Amadeus Mozart (1756-91)
Nun, liebes Weibchen K.625(592a)
aus "Der Stein des Weisen" (1790)「堅者の石」より

ロッシーニ「二匹の猫の滑稽な二重唱」(二重唱)
Gioacchino Rossini (1792-1868)
Duetto buffo di due gatti (ca1830)

ショパン「華麗なる大ワルツ ヘ長調」(ピアノ)
Frédéric Chopin (1810-49)
Grand valse brillante op.34-3 (1838)

シェーンベルク「分別ある愛人/誘惑」(バリトン)
Arnold Schönberg (1874-1951)
Der genügsame Liebhaber (1901)
Lockung op.6-7 (1905)

ストラヴィンスキー「猫の子守唄」(ソプラノとクラリネット3重奏)
Igor Stravinsky (1882-1971)
Berceuses du chat (1915-6)
  1.Sur le poêle 暖炉の上で
  2.Intérieur 部屋の中
  3.Dodo ねんね
  4.Ce qu'il a, le chat 猫がもってるのは

(ラヴェル「子供と魔法 より 猫の二重唱」全員)


*出演

渡辺有里香(ソプラノ)
藪内俊弥(バリトン)
川北祥子(ピアノ)

ゲスト:
飯田真弓(クラリネット)
大橋裕子(クラリネット)
中秀仁(クラリネット)


*プログラムコメント

 本日は「猫の音楽史」と題し、猫にまつわる作品を音楽史にそって並べてみた。まず最初に18世紀の二作品、バロック時代のスカルラッティの「猫のフーガ」(通称)と、古典派モーツァルトの魔法で「ミャウ」しか喋れなくなってしまった二重唱を。続いて19世紀ロマン派からも二作品、ロッシーニによる猫の鳴き声だけで繰り広げられる二重唱と、ピアノの詩人ショパンによる「猫のワルツ」(通称)を。最後は20世紀における重要な二人の作曲家の歌曲。シェーンベルクの「分別ある愛人」はキャバレーソング、「誘惑」は後の12音や無調へ繋がる初期作、咽を鳴らす猫のようなクラリネット三重奏を伴い歌われる「猫の子守唄」はストラヴィンスキーの民俗的作品の代表作の一つである。


*歌詞大意

「さあ愛しいひとよ」(E.シカネーダー)

さあ愛しいひとよ 一緒に行こう
一緒にあの静かな小屋へ

ミャウ ミャウ ミャウ ミャウ

何て言ったんだい? はっきり言っておくれ!
家に居たいのかい そうだろう?

ミャウ ミャウ ミャウ ミャウ

悪魔がミャウと鳴かせるのだ!
言ってごらん 僕には忠実だと?

ミャウ ミャウ

ミャウ ミャウ 哀れな僕!
彼女は魔法をかけられている どうすればいいだろう?

ミャウ ミャウ ミャウ ミャウ ミャウ
ミャウ ミャウ ミャウ ミャウ ミャウ

哀れなお前 かわいそうに
助ける方法はもうないのだろうか?

ミャウ ミャウ ミャウ ミャウ

オイティフロンテならきっとまだ助けてくれる
おいで 彼は僕たちを許してくれるだろう

ミャウ ミャウ ミャウ ミャウ ミャウ
ミャウ ミャウ ミャウ ミャウ

「分別ある愛人」(H.ザールス)

彼女は黒猫を飼っている
柔らかく光るビロードの毛の
私はといえば光り輝く禿頭
つるつるで銀のよう

彼女は豊満なひと
いつも長椅子に横たわり
ずっと猫の毛を撫でている
何て事だ!ビロードの柔らかい毛に夢中なのだ

夜彼女を訪ねると
ネコは彼女の膝にいて
一緒に蜂蜜菓子をつまんでいる
私が軽く触れると身震いした

私も優しくして欲しくて
なんとか撫でてもらおうと
禿頭に猫を乗せてみる
彼女はその猫を撫でて笑う

「誘惑」(K.アラム)

おいで あともう一歩!
もう食事はすませた
おまえを食べたりしないよ
おいで あともう一歩!

二つのつま先はもう遠くへは行けまい
その小さな家までは
おいで 私の小さなネズミ
ごらん 私達はここにいる そうだよ!

この小さな隅に
もう怖いものなどなく
おまえの小さな頬はなんと燃えていることか
もう何もお前を助けてはくれまい
おまえは私のもの 私のもの!

「猫の子守唄」(C.F.ラミューズ)

1.暖炉の上で

ねむれ、暖炉の上で
よく暖まって、猫よ
振り子時計が鳴る
でもおまえのためにではない

2.部屋の中

すみっこの猫、ハシバミの実を割ってる
窯の上の猫、毛繕いしてる
そしてちび猫たちは眼鏡をかけようとしてる
もしおじいさんがかけ終ったら、と
ひそかに狙って…
でもまだかけている
しかたない

3.ねんね

ねんねん ぼうや ねんねんよ
今日はにゃんこがねずみ色の一張羅を着た
ねずみ狩りをするために
ねんねん ぼうや ねんねんよ
ぼうやが静かにしなかったら
一張羅を脱いじゃうぞ
ねんねん ぼうや ねんねんよ

4.猫がもってるのは

猫がもってるのはすてきなゆりかご
わたしのぼうやももっている
もっとすてきなのを

猫がもってるのは白いまくら
わたしのぼうやももっている
もっと白いのを

猫がもってるのは上等なシーツ
わたしのぼうやももっている
もっと上等なのを

猫がもってるのは温かい帽子
わたしのぼうやももっている
もっと温かなのを



*カフノーツ

#21 物語る猫たち

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